今更聞けない和室の名称について
和室には、一見すると似たような木枠や天井、床のパーツが多く、
「名前まではよく知らない…」
という人も少なくありません。
でも、それぞれにちゃんとした役割と由来が。
今回は代表的な7つの部位をご紹介します。

1. 床の間(とこのま)
【どんな場所?】
床の間は、掛け軸や花を飾るための和室の中で最も格式の高い場所。
本来は客人をもてなすための飾り空間です。
【語源・由来】
「床(とこ)」は一段高くした場所、「間(ま)」は空間を意味します。
室町時代に書院造が発展する中で、床の間が重要な装飾要素として登場しました。
【豆知識・現代の使い方】
掛け軸の右側(客から見て左側)に花を生けるのが正式。
「上座」は床の間のある側。客人はその近くに通されます。
現代住宅では床の間を省略する家も増えていますが、コンパクトな飾り棚やニッチ(壁のくぼみ)として再解釈されることも多いです。
間接照明を仕込んでモダンな演出にするのも人気です。
ワンポイント 「床の間と板の間のちがいとは?」
床の間(とこのま)
• 床柱(とこばしら)あり。
・床の間を区切るための象徴的な柱で、空間に格式と緊張感を与える。
• 「床柱」「床板」「床框(とこがまち)」の3点セットで構成されていることが多い。
• 掛け軸や花を飾る“正式な飾りの間”。
• 「座敷の格(ランク)」を示す象徴的な場所でもある。
板の間(いたのま)
• 床柱がないのが基本。
・柱で区切らず、壁面がフラットになっている。
• 床が木の板張りで、飾り棚や花台のような簡易的・実用的なスペース。
• 「飾るけれど、格式ばらない場所」として扱われることが多い。
「床柱がある=床の間、ない=板の間」と判断されることが多く、
最近の住宅ではデザインとして床柱を省いた“床の間風”板の間も。
その境目はかなり柔らかくなってるようです。
さて、本題に戻ります。
2. 天袋(てんぶくろ)
【どんな場所?】
床の間や違い棚の上にある吊り戸棚のような収納。
天井付近に設けられているため「天袋」と呼ばれます。
【語源・由来】
「袋」は空間・収納を意味し、「天」に近い位置にあることからこの名がつきました。
【豆知識・現代の使い方】
昔は掛け軸や季節の道具などをしまっていました。
今でも季節の飾りや来客用の座布団、冠婚葬祭の道具などを入れることがあります。
3. 欄間(らんま)
【どんな場所?】
鴨居(かもい)と天井の間にある透かし彫りや格子の装飾パネル。
風や光を通しつつ、空間をゆるやかに仕切る役割を持ちます。
【語源・由来】
「欄」は仕切り・柵、「間」は空間。
つまり「仕切りと天井の間」の装飾です。
江戸時代に特に意匠が発展しました。
【豆知識・現代の使い方】
現代では、彫刻欄間をインテリアアートとして再利用するケースも。
リノベで「欄間だけ残す」のも粋です。
4. 鴨居(かもい)
【どんな場所?】
障子や襖の上枠になる水平の横木。
下の敷居とセットで建具をはめ込みます。
【語源・由来】
「鴨居」の由来は諸説ありますが、「鴨(かも)」という建築用語(梁や桁を指す古語)からきているとも言われます。
【豆知識・現代の使い方】
鴨居は建具をスライドさせるためのレールにもなっている重要部分。
最近では鴨居の上に間接照明を仕込んで、現代的な演出に使う人もいます。
5. 長押(なげし)
【どんな場所?】
柱の内側に沿って水平に打たれる化粧用の横木。
構造的な補強も兼ねています。
【語源・由来】
古代の建築で梁を釘で固定する「押え(おし)」から来ており、それが長く伸びた形なので「長押」。
【豆知識・現代の使い方】
現代ではピクチャーレールのように、掛け軸や額縁を掛ける役割として使うと便利!
長押を活かしたインテリアは和モダンにもぴったりです。
6. 竿縁(さおぶち)
【どんな場所?】
天井板を支えるための細い木の横桟。
和室の天井に見られる、すっきりとした水平ラインがこれです。
【語源・由来】
細い木を「竿」、天井板の「縁」を支えることからこの名前になりました。
【豆知識・現代の使い方】
竿縁天井は「和の落ち着き」を演出する代表的な意匠。
リノベでも人気で、木の色味を変えるだけでぐっとモダンな印象に変わります。
7. 敷居(しきい)
【どんな場所?】
襖や障子の下枠となる横木。鴨居と対になって建具を支えます。
【語源・由来】
「敷く+居(すえ)」が語源で、床に敷かれて固定されることから。
【豆知識・現代の使い方】
昔の和室は段差のある敷居が多いですが、今はバリアフリー化で段差なしにする施工も一般的です。
段差をあえて残して「和の区切り感」を演出するケースもあります。
以上が代表的な和室の名称でした。
他にも見かけたことのある和室の名称をご紹介!
床脇(とこわき)
【どんな場所?】
床の間の隣に設けられる収納や飾り棚の空間のこと。
「違い棚」「天袋」「地袋」「書院」と組み合わせて構成されることが多く、床の間とセットで“格式の象徴”とされてきました。
伝統的には「違い棚」を設けて、書画や骨董を飾るなど、趣味空間としての演出に使われてきました。
【語源・由来】
「床(とこ)」の「脇(わき)」にあることからその名がつきました。
室町時代の書院造で、床の間の機能を補うために作られたのが始まり。
格式を保ちながらも実用性と美しさを兼ね備えた構成として発展しました。
【豆知識・現代の使い方】
床の間と床脇を合わせて「床構え(とこがまえ)」と呼ぶ。
現代では、床脇のスペースを飾り棚・アートニッチ・収納として再利用するケースがみられます。
書院(しょいん)
【どんな場所?】
床の間の横に設けられる窓付きの飾り棚+机スペース。
書物を読んだり、飾りを置いたりするための空間です。
【語源・由来】
「書院造」の由来にもなった重要な空間。
武家住宅で発展し、格式を示す象徴でした。
【豆知識・現代の使い方】
現代では飾り棚として使ったり、窓際にデスクを造作して書斎風にリノベするのも素敵ですね。
まとめ
和室の部位名を知ると、ただの「和風な部屋」がぐっと奥深く見えてきます。
古来の意味を理解した上で、現代のライフスタイルに合わせたアレンジをすることで、伝統とモダンが融合した美しい空間が生まれます。
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